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小松亮太さんから公演に向けてメッセージ

98年にデビューして以来、僕は様々なアーティストと共演させていただき、そして様々な楽器編成でタンゴをアピールしてきた。中でも今回演奏させていただく「オルケスタ・ティピカ」は、バンドネオンが3〜4人、バイオリンが3人以上(ビオラやチェロを加えることもある)、そしてピアノ、コントラバスという、アルゼンチンタンゴの黄金期を象徴する楽器編成だ。
「ティピカ」という言葉は「標準」を意味する。こんな贅沢な楽器編成を「標準型オーケストラ」と呼ぶ時代があったのだ。1940年から1955年頃まで、第二次世界大戦によって農業が滞ってしまった国々に、農業国であるアルゼンチンは食料を大量に輸出して莫大な利益を得ていた。この一種のバブル景気が音楽界に波及したことで、タンゴは「いくらでも人と金を使える」黄金時代に突入した。今はリベルタンゴで有名なアストル・ピアソラも含め、ほぼすべてのアーティストがオルケスタ・ティピカ編成で活動していたのがこの時代である。
僕はどうしてもオルケスタ・ティピカを復活させたい。現在ではすでに、「タンゴを知らない人がピアソラの曲を弾く」ことがタンゴの世界標準になってしまった。「タンゴを知る人たちによるオルケスタ・ティピカ」が存在しないということは、「タンゴが存在しない」ということに直結してしまう。
近年ではソロ・プレイ指向が強まったことや経済の悪化により、本場アルゼンチンでも目にすることは少なくなってしまったが、このコンサートでオルケスタ・ティピカ復興にかける人間たちの矜持を目撃してほしい。
そして、圧倒的な歌唱力を持つ彩吹真央さんがタンゴに再び挑戦してくれる。2011年から13年にかけて、ミュージカル「ロコへのバラード」でご一緒したときの感動を豊中で再現できることを本当に楽しみにしている。
世界的にも稀なこのコンサート、必ず良い演奏にします！是非ご来場ください!
―小松亮太

小松亮太オフィシャルサイト